重国籍者の本国法を判断するにあたって、最密接関係国を具体的に検討の上、判断した家裁判例を紹介します。
父母及び子が、ともに重国籍者であり、常居所地もまちまちであるため、子の監護権の準拠法を判断するために、詳細な検討が加えられたものです。
通則法32条ー子の本国法が父又は母の本国法と同一である場合には子の本国法による
→父母及び子の本国法を確定する必要がある。
通則法38条1項(重国籍者の本国法の考え方)
① 国籍に日本国籍が含まれていれば日本法が本国法
② 日本国籍が含まれていない場合 a) 国籍に常居所地が含まれていれば、常居所地国が本国法
b) 国籍に常居所地が含まれていなければ、国籍の中の最密接関係国が本国法
上記、通則法の定めを本件事案に適用すると、
父 日本国籍なし・常居所地に国籍を含まない→国籍の中から最密接関係国を検討
→国籍を有する二ヵ国の中からチェコ法を本国法とする
母 日本国籍あり→日本法が本国法
子 日本国籍なし(因みに常居所地は日本である)→国籍の中から最密接関係国を検討
→国籍を有する三か国の中からチェコ法を本国法とする
準拠法 父と子の本国法が同一であるため、子の本国法たるチェコ法となる
日本で手続を行う以上、日本国籍を取得しているか否かが決定的に重要であることを思い知らされるところです。
というのも、国籍の中から最密接関係国が選択されるということは、裁判所による結論の事前には一律の判断をしかねることになるからです。
本件でも、子は、チェコの他、A及びB国の国籍を有していたところ、A国で出生し、母の両親や親族が住むA国を度々訪問し、日本における在留カードの登録国籍をA国とするなど、少なくとも母側の主観としては、A国を最密接関係国と認識していた可能性が見受けられます。
裁判所は(子の現在の常居所地が日本であるとはいえ)、子にチェコに居住歴があること、チェコの永住権を有していること、及び、父側の親族がチェコに居住しており、度々訪問していることから、チェコを最密接関係国と認定しています。これは、父側の主観に合致していたのではないでしょうか。
裁判所としては、A国を子の最密接関係国とすると、子の本国法はA法となり、結果的に子の監護権に関する準拠法もA法とせねばならないことから、第三国的な立場にあるA法の情報収集について、危惧を覚えたのでしょうか。。。
そうは言っても、A国は、母にとって、もう一つの国籍でもあるのですよ。。。
裁判所としても、難しい判断だったのではないかと推察するところです。
父母及び子が、ともに重国籍者であり、常居所地もまちまちであるため、子の監護権の準拠法を判断するために、詳細な検討が加えられたものです。
通則法32条ー子の本国法が父又は母の本国法と同一である場合には子の本国法による
→父母及び子の本国法を確定する必要がある。
通則法38条1項(重国籍者の本国法の考え方)
① 国籍に日本国籍が含まれていれば日本法が本国法
② 日本国籍が含まれていない場合 a) 国籍に常居所地が含まれていれば、常居所地国が本国法
b) 国籍に常居所地が含まれていなければ、国籍の中の最密接関係国が本国法
上記、通則法の定めを本件事案に適用すると、
父 日本国籍なし・常居所地に国籍を含まない→国籍の中から最密接関係国を検討
→国籍を有する二ヵ国の中からチェコ法を本国法とする
母 日本国籍あり→日本法が本国法
子 日本国籍なし(因みに常居所地は日本である)→国籍の中から最密接関係国を検討
→国籍を有する三か国の中からチェコ法を本国法とする
準拠法 父と子の本国法が同一であるため、子の本国法たるチェコ法となる
日本で手続を行う以上、日本国籍を取得しているか否かが決定的に重要であることを思い知らされるところです。
というのも、国籍の中から最密接関係国が選択されるということは、裁判所による結論の事前には一律の判断をしかねることになるからです。
本件でも、子は、チェコの他、A及びB国の国籍を有していたところ、A国で出生し、母の両親や親族が住むA国を度々訪問し、日本における在留カードの登録国籍をA国とするなど、少なくとも母側の主観としては、A国を最密接関係国と認識していた可能性が見受けられます。
裁判所は(子の現在の常居所地が日本であるとはいえ)、子にチェコに居住歴があること、チェコの永住権を有していること、及び、父側の親族がチェコに居住しており、度々訪問していることから、チェコを最密接関係国と認定しています。これは、父側の主観に合致していたのではないでしょうか。
裁判所としては、A国を子の最密接関係国とすると、子の本国法はA法となり、結果的に子の監護権に関する準拠法もA法とせねばならないことから、第三国的な立場にあるA法の情報収集について、危惧を覚えたのでしょうか。。。
そうは言っても、A国は、母にとって、もう一つの国籍でもあるのですよ。。。
裁判所としても、難しい判断だったのではないかと推察するところです。
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